http://runninglife.kyotolog.net/knowhow/t%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%EF%BC%88threshold%E3%80%81%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%EF%BC%88%E9%96%BETペース(Threshold、スレッシュホールド(閾値)ペース走)
Tペースとは、Threshold(スレッシュホールド(閾値))ペースのことで、アメリカのランニング指導者であるジャック・ダニエルズ氏の著書「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」にある5つのランニング強度のうちの一つです。
人間は、体内にある約500gの糖と数kgの脂肪からエネルギーを生み出して筋肉などを動かして運動します。糖だけのエネルギーだと約2,000kcal相当しかないので、2,500kcal前後必要とするフルマラソンは糖だけでは走れません。
数万kcalに相当する脂肪をうまく活用する必要があります。
糖がエネルギーに変わるときに乳酸が生み出されます。
この乳酸は、酸素や脂肪を使ってエネルギーを生み出します。
前者がいわゆる無酸素運動、後者が有酸素運動と呼ばれるもののエネルギー代謝の仕組みです。
有酸素運動がダイエットに良いと言われるのはこのためです。
運動強度が低いときには有酸素運動となり、糖と脂肪の燃焼の割合は同等か脂肪の方が大きいですが、ある一定の運動強度になると無酸素運動となり、脂肪よりも糖の燃焼の割合が大きくなり、長時間の継続が困難となります。
この運動強度を超えると、糖から生み出された乳酸の処理が追いつかなくなり、乳酸濃度が急上昇します。
そのため、この運動強度のことを乳酸性作業閾値(Lactate Threshold=LT)、略して閾値と呼びます。
よく疲れてきたときに乳酸が溜まったと表現するのはこれが要因です。
ただ、実際には乳酸が悪いのではなく、結果的に乳酸が溜まってきたにすぎません。
有酸素運動から無酸素運動に切り替わるタイミングでもあるので、AT値(Ananerobic Threshold、無酸素性作業閾値)とも呼ばれます。
AT値の心拍数は、
(最大心拍数 - 安静時心拍数)×0.75+安静時心拍数
の計算式で求めることができます。
私の場合、最大心拍数は180〜186で、安静時心拍数は45なので、AT値の心拍数は、146〜151になります。
したがって、私の場合、心拍数が150以上ぐらいになると、有酸素運動から無酸素運動に切り替わることになります。
つまり、ダイエットするならば、心拍数を146以下に抑えた強度での運動を行う必要があるということになります。
なお、安静時心拍数は、運動を続けていると下がってきます。
私は本格的にランニングに取り組む前は55ぐらいでしたが、現在は45に下がりました。
一流のアスリートだと40を切る人もいるようです。
いわゆるアスリート心臓・スポーツ心臓と呼ばれるものです。
話しを元に戻すと、このLT値(AT値、以下省略します)を超えた運動強度での運動を続けると、無酸素運動になり、糖の処理量が増えるため、体内の糖が枯渇します。
いわゆるエネルギー切れとなって脚が動かなくなります。
フルマラソンでいわゆる30kmや35kmの壁と言われるペースの低下はこれが原因だったりします。
また、運動を続けているときにしんどくなってくると、息が上がって、ゼーゼーハーハー状態になるなると思いますが、これは身体が、もう無酸素運動は限界だから、有酸素運動に切り替えてくれと願って、沢山、酸素を取り込もうとしているからです。
一方で、後半、ペースを上げたり、ラストスパートができる方がいますが、これが実現できるのは、残っていた糖が活躍している場合があります。
糖は脂肪に比べて短時間にエネルギーを生み出すことができるからです。
LT値で走れる時間は通常は20〜30分、レース前のようにしっかりと調整した場合(ピーキングと呼びます)は60分程度とされています。
したがって、マラソンなどの長距離を走るときには、このLT値を超えない範囲で有酸素運動を続けることが最後までペースを崩さず走り切るための大きな要素となります。
そして、このLT値はトレーニングによって向上させることができます。
ジャックダニエルズ博士のVDOT計算式で算出されたTペースで、20分程度走る練習です。
例えば、Tペースが4:00/kmの場合には、このペースを維持して5km走ることになります。
このTペース走は、マラソンのトレーニングにおいて、とても効果の高い練習でありながら、オーバートレーニングを防ぎ、「終わるのが待ち遠しいペース」で、継続しやすい練習メニューと言われています。
ある程度速い一定ペースを維持できる時間を伸ばす、スピード持久力をつけるトレーニングです。
走ってみるとわかりますが、自分の実力にとって結構速いペースですので、がんばってしまってタイムトライアルにならないよう、抑えて、適正ペースを維持して20分間程度を走り切ることが練習効果を高めることになります。
Tペース走を繰り返していくと、最初の頃はキツイと感じていたペースが徐々に楽になってきます。
LT値が向上し、無酸素運動にならずに有酸素運動で引っ張れるようになったためです。
それから、このTペースよりも少し遅いペース(5秒〜10秒/km)で20分よりも長い時間を走ることでも同様の効果が得られるようで、米国では、「テンポラン」と呼ばれています。
例えば、Tペースが4:00/kmの場合には、4:05〜4:10/km設定で、6km〜8kmぐらい走ります。
日本で「ペース走」と呼ばれているものは、このTペース走かテンポラン、Mペース走あたりを指すことが多いです。
また、クルーズインターバル、という練習方法もあります。
これは、Tペースで行うインターバル走です。
具体的には、Tペースで1本あたり5分〜15分走り、レスト(休憩、立ち止まるかゆっくりのジョギング)を1分〜2分挟み、これを3〜10本繰り返すというものです。
休憩を挟むことで、20分間よりも沢山の時間、LT値の負荷を身体に与えることができます。
例えば、Tペースが4:00/kmの場合には、Tペースで2〜3km × 5本、という感じです。
この場合、合計だと、40分〜60分走ることになります。
【心拍数の目安は、最大心拍数の88%~92%】186/180の場合、164-171/158-166
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